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第二章・49
朝食の席、修練に間に合わない、と先に食堂を飛び出していった愛が残したトレイの皿は、これまで以上に料理が減っていた。
まだまだ食は細いが、何とか半分は食べられるようになったのだ。
これは大きな進歩だ。
だが、それでもやはりお昼まで持たないだろう。
明は小さな包みを手に、休憩時間を見計らって修練場へと向かった。
「おい。また差し入れか」
呼び止める声は、柊一。
その手には、水筒が下げられている。
「シュークリームか」
「残念でした。アップルパイだ」
「また甘いものを」
そう言うお前は、相も変わらずレモン水かよ、と明は柊一の水筒を軽く指ではじいた。
「疲労回復には、レモン水が一番なんだ」
だが、そのレモン水にはこれまでとは違い、蜂蜜がたっぷり溶かしてある。
甘い蜂蜜レモンを飲んで、愛はどんな顔をするだろう。
柊一は心の中でわくわくしながら、明と並んで愛の待つ木陰へと歩いて行った
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