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第三章・3
明は、はずんだ足取りで修練場へ向かっていた。
別に修練を楽しみにしているわけではない。
そんなもの、どちらかといえば面倒くさいし嫌いだ。
明のお目当ては、修練場の脇にどでんと座っている大岩。
その足元にひっそりと根ざしている、ノイバラだった。
自生野生のそれは園芸品種に比べると実にささやかで小さいものだったが、命を振り絞るように葉を、つるを伸ばし、先だってついにつぼみをつけた。
花が開いたら、愛を連れて来よう。
昨日見た時はずいぶんと膨らんでいたから、もしかして今日あたりもう咲いているかもしれない。
魚座の大魔闘士候補生になってからこっち、修行修行でへろへろになっている愛も、これを見ればきっと元気を出すに違いない。
そんなことを考えながら修練場に到着した明を迎えたのは、ものの見事にノイバラを下敷きにして転がっている大岩だった。
ぱっくりと真ん中から割られて二つになってしまっている大岩は、その鋭利な断面を空に向け、申し訳ない、というように黙っている。
やや離れたところに見えるのは、柊一の姿。
一体何が起こったのかを明が悟るには、それで充分だった。
この馬鹿が手刀の試し切りに、よりによってこの大岩を選んだのだ。
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