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第三章・4

 次の瞬間、明は柊一に強烈なタックルを喰らわしていた。  地に倒れた柊一にそのまま馬乗りになって、殴る、殴る、殴る。  額と言わず頬と言わず、ただひたすら殴った。  柊一は、突然の出来事に驚くしかない。  これまで見たこともない鬼の形相で、明が自分を殴りにかかっている。  何だ何だ、何か気に障る事を俺はやったか!?  ただ、わけもわからずこのまま殴られ続けるのは、プライドが許さない。  柊一は力任せに明を引きはがし、脚をたたんで彼の腹に当て渾身の力で蹴りのめした。 「ぐぅッ!」  変な声を上げて後ろに吹っ飛んだ明だが、柊一が体勢を立て直す間もなく再び突っ込んでくる。  二人は互いの両掌を握り合わせ、押し合う形となった。  顔が真っ赤になるまで押し合うが、どちらも一歩も引かないため、その場からびくとも動かない。

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