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第三章・12

 そんな愛の思いを見透かしたように、明は忌々しげに口を開いた。 「それにしてもムカつくのは東郷だ」 「東郷様?」  おう、と明は腕組みをした。 「何とかぎゃふんと言わせてやらねえと、気が済まねえ」  おいおい、と柊一は立ち上がると明を見据えた。 「東郷さんは関係ないだろう。もとはと言えば、俺とお前の問題だぞ。止めに入ってくれただけじゃあないか」 「その止め方が間違ってる、ってんだよ。あいつには人の痛みってもんを解からせてあげねえと、将来ろくなことになんねえぞ」

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