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第三章・13
大体、情緒ってもんがねえんだよ、と明はじゃぶじゃぶと泉の中へ入っていった。
ぱしゃん、と手を水面で振り、戻ってくるとその手の中には小さな魚が跳ねていた。
明は黙ってその手をひらめかせ、魚を宙に放り投げた。
柊一は慌ててその魚に手を伸ばし、愛は小さく悲鳴をあげた。
「かわいそうだよ。早く水に戻してあげて」
そうだろ? と明は大声を上げた。
「それが普通なんだよ。もし東郷だったら、って考えてみろ。笑って火を起こすに決まってるぜ」
魚を泉に戻しながら、柊一と愛は顔を見合わせた。
確かに、嬉しそうに焼き魚をほおばっている東郷しか思い浮かばない。
「入江と並んで魔闘士教官候補に挙げられてる男がだよ? それじゃあ困るだろ。だから、オレたちで何とかしてやろうじゃねえか」
一理ある、と感じつつも、にやりと笑う明に何か嫌な予感のする柊一だった。
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