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第三章・14

 今一つ不安を感じている柊一をおいて、明は何やら思案し始めた。  こういうことになら、天才的な才能を発揮するやつだ。  やめさせるなら今のうち、と柊一は口を開きかけたが、時すでに遅し。  にんまりと笑った明は、得意げに愛に指示を出した。 「愛、おまえ今から東郷にできるだけ親切にしてやるんだ」 「親切に?」 「おぅ。うんと親切に優しく、だ。頼むぜ」 「うん。解かった」  親切に、とはどういうことだ。  ぎゃふん、と言わせてやるんじゃなかったのか。  予想がはずれて意外な顔をしている柊一にも、明は指示を出してきた。 「柊一は、川嶋 亜希(かわしま あき)に頼んで、稽古をつけてもらってくれ」 「川嶋さんに?」  柊一は、これまたどこからひねり出したか解からない明の言葉に困惑した。  川嶋と言えば、10代の女性魔闘士の筆頭だ。  鷲座を守護星座に持つ、かなりの実力者。  確かに腕は立つが、なぜ彼女なんだ。

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