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第三章・15
「いや、俺は修練なら東郷さんに見てもらっているから、特に他の者に頼む必要はないんだが?」
「鷲座の魔闘士・川嶋っつったら、足技の名手だぜ? お前も磨きをかけるにはもってこいだろ」
「だがしかし」
柊一、と明はその両肩に手をのせた。
「すべては東郷のためだ。あいつに情緒ってもんを教えてやるんだよ。より人間的に深みのある人材にしてやろうってんだ。協力しろよ。な?」
「うん……」
なんだか巧く言いくるめられてしまった感がないでもないが、東郷のためになり、自分の技も高まる。
柊一には断る理由がなかった。
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