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第三章・18
「東郷様、川嶋様の方ばかり見てないで、早く私にも稽古をつけてください」
服の裾をひっぱられて、東郷は我に返った。
にっこりと笑う愛の顔は、とても愛らしい。
川嶋とは、また違った魅力にあふれている。
何やら今日は、その笑顔がまた格別だ。
格別なのは笑顔だけではなかった。
修練の合間、休憩時にはタオルで汗を拭いてくれたり、水筒を差し出してくれたりと何かとかいがいしい。
しまいには、軽食まで飛び出す始末だ。
「川嶋様もご一緒にいかがですか?」
「あぁ、いいね。いただくよ」
東郷と川嶋、柊一に愛は仲良く4人でサンドウィッチをほおばった。
汗をかいた体に、涼しい風が心地よい。
「東郷様、口元にパン屑がついてますよ」
愛はそう言って東郷の口元からパン屑をつまむと、自分の唇にぱくりとおさめた。
「お? あぁ、すまない」
かつて経験したことのない甘やかな仕草に、東郷の胸は何やらどきどきとざわついた。
何だか嬉し恥ずかしいような、妙な気持ちだ。
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