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第三章・21

 まさか、あの川嶋が。  何かの間違いではないか、と、もう一度書類に目を通してみたが、校長印までしっかり押してある。  憎からず思っている川嶋と、今日もまた一緒に修練ができるかもしれない、と浮ついていた東郷の気持ちは、瞬く間に暗く重いものへと変わってしまった。  だが、校長の命とあらば従わないわけにはいかない。  校長の思い過ごしであることを祈りつつ、東郷は気を引き締めてその場を去った。

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