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第三章・32

 朝、東郷は浮かない顔で書類棚のカギを開けた。  校長からの命令書が、また入っていたらどうしよう。  中に、川嶋を捕らえるように、などと書かれてあったら。  深いため息をついて、棚の中を確かめる。  次の会議の議題、忘れ物のお知らせ、新年の儀のスケジュール。    そして、それらの中に混じって見たくない色の封書が存在していた。  校長からの命令書だ。    意を決して開いたところに並んでいた文字は、喜ばしいものではなかった。 『本日14時、第二屋内修練場203号室へ赴くこと。中で川嶋 亜希が、同士と共に秘密裏の会合を開く模様。内容によっては、捕らえよ』  東郷の胃が、ずんと熱くなった。  恐れていたことが、現実となってしまったのだ。  だが、校長の命には従わねばならない。  どうか、何かの間違いでありますように、との願いを胸に、東郷は重い足取りでその場から離れた。

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