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第三章・35
言い合う二人の間に、高らかな大声が割って入った。
「喧嘩両成敗!」
「左近充!? どうしてここに!?」
「東郷さん、男なら自分の言動に責任持てよな」
普段の東郷の口癖をまねた明は、へへん、と口の端をあげた。
「川嶋さんのハダカ見ちまったんだ。ここはひとつ、あんたも脱げ、東郷さん! それでおあいこだ!」
「キャ~ッ♪」
女子の黄色い悲鳴が上がり、東郷は耳まで赤くして口をぱくぱくさせた。
川嶋を除く女子たちは、きゃあきゃあと体を隠して部屋の隅にかたまりながら、東郷が次にどんな行動をとるのか期待を込めたまなざしを向けている。
「どうした、東郷さん! 喧嘩両成敗だぞ!」
東郷は明の調子に乗った声に、ようやくはめられたのだという事に気付いた。
だがしかし、時はすでに遅い。
川嶋のセミヌードを見てしまったという事実は、曲げられない。
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