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第三章・37 ~二人のキューピッド~

 ばかばかばかばか、とパカパカ降ってくるゲンコツの雨から、明は頭を抱えて逃げ回っていた。 「何だよ! 大成功だったんだぞ!?」 「川嶋様の気持ちはどうなるのさ! 明のバカ!」  川嶋の名前を口にした途端、愛は明をぶつ手を止め、改めてしょげかえってしまった。 「川嶋様、きっと傷ついた」 「あいつがそんなタマかよ」 「うぅ。川嶋様と東郷様、うまくいくと思ってたのに」 「あのな。オレたちゃ別にあいつらをくっつけるために動いてたんじゃねえんだぞ。そこんとこ解かれよ」 「恋のキューピッドになれると思ってたのに~」    わあん、と地に伏せてごろごろ転げまわる愛を足で小突きながら、明はくるりと首を回した。 「柊一はどうしたんだ。姿が見えねえな」  そう言った矢先、その柊一が息を切らせて駆けてきた。 「おぉ、二人とも早く来い。凄いものが見られるぞ」 「凄いもの?」 「ああ。東郷さんと入江さんの練習試合だ。こんな機会は滅多にない。きっと勉強になる!」 「東郷と入江が手合せ? そんな予定なかったぞ」 「東郷さんが急に入江さんに申し込んだんだ。どうしてもと言って」

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