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第三章・38

 東郷といえば、別れた時はあんなに沈んでいたというのに、どういう風の吹き回しだ。  慌てて闘技場に行ってみると、物凄い勢いで入江に拳をふるう東郷の姿があった。  眼を剥き、歯を食いしばり、恐ろしい形相だ。 「東郷さん、何だか入れ込みすぎているように見えるな」  柊一は意外な光景に、少々がっかりしたようだった。  大魔闘士の筆頭である二人の戦いは、もっとヒリヒリとした緊迫感のあるものだと思っていたのに。 「ありゃあ、アレだな。とりあえず体を動かさなきゃどうしようもねえからやってるだけだな。東郷は」  ため息交じりの明の言葉に、柊一は疑問を投じた。 「どういうことだ」 「黙ってるとよ、ぽわわ~んと浮かんできちゃうんじゃあねえの?」 「何が」 「川嶋の裸」 「ばッ、馬鹿を言うな!」 「なんだよ。お前だってチラ見してたくせに」

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