169 / 259

第三章・42

 東郷の後から、明の姿も現れた。  テレポーテーションで、闘技場から東郷をここまで運んできたのである。  「ほい。これでいいか? で、これから一体どうするんだよ」 「あ、ちゃんと私のテレパシー届いたんだ」  愛は嬉しそうに、明に向かって手を伸ばした。 「おぅ。でもまだノイズがひどいぜ。もっと練習しなきゃな」  明は愛の手を取ると、ぐいと引き寄せた。  二人で顔を見合わせて、ふふ、と笑う。 「じゃあ、後はふたりにまかせます♪」  明と愛の体が、テレポートによって次第にその場から消えてゆく。 「おい! 二人とも、待ちな!」  慌てる川嶋と、アザラシのように転がっている東郷をおいて、明と愛の姿は去ってしまった。

ともだちにシェアしよう!