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第三章・46 ~浄化~
テレポーテーションで向かった先は、明の住居だった。
「うわ~、素敵な部屋!」
「大魔導士になれば、お前にもこんな一戸建てが支給されるぞ」
(でも、どうして寝室?)
大きなベッドに腰かけ、明は足をぶらぶらさせている。
「ね、東郷様と川嶋様、うまくいくと思う?」
「ま、キスくらいは余裕だろうな」
「羨ましいな、あの二人」
愛のつぶやきに、明はひとつ決心をした。
「なぁ、オレたちも……」
「オレたちも、何?」
明の心の内は充分解っているくせに、愛はわざとそんなことを言って隣に腰かけた。
触れ合うほど近くに、愛がいる。
いつもの事だ。
いつもこいつは、無防備にオレの傍に寄り添ってくる。
キスしたい、と明は思っていた。
だけど、この心の距離感も大事にしたい。
下手にキスして拒まれて、気まずい関係になるのはイヤだ。
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