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第三章・47
「明、キスしよっか」
「え!? あ、うぁ、あ」
明が何も言えないうちに、愛の唇が重なってきた。
柔らかく、甘く、とんでもなく心地よい。
キスした時と同じくらいゆっくりと、愛は離れた。
眼を合わせてくる。
どうする?
これでいいの?
これで、満足なの?
愛が、眼で訊いてくる。
今度は、明からキスをした。
優しく唇を合わせ、髪を撫でた。
手の動きに併せて、少しずつ顔に角度をつけてゆく。
薄く開いた唇から、愛がそっと舌をのぞかせてきた。
明も、それに応えた。
愛の咥内に舌を差し入れ、緩く舐めた。
ひどく興奮してきた自分が、ここにいる。
だが、気持ちを抑えて優しく優しく振舞った。
愛は、小さい頃からの性被害者なのだ。
乱暴はイヤに違いない。
思いやりをもって、明は温かなキスをした。
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