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第三章・48
(やっぱり)
やっぱり、と確かな愛情を、愛は明から受け取っていた。
とても穏やかで、優しいキス。
暗い過去のある私を思いやって、そうしてくれているのに違いない。
やっと、キスできた。
やっと、キスしてくれた。
でも、その先は?
私は、明に抱かれたい。
でも、明は?
手垢にまみれた、汚れた私を抱いてくれるだろうか。
唇を離した後、愛はうつむいていた。
(やばい。イヤだったかな?)
明はかける言葉を探していたが、今度も先に話したのは愛だった。
「明……、抱いてくれる?」
「愛」
「明に抱いて貰ったら、今までのこと少しは軽くなりそうな気がする」
今までのこと、とは散々慰み者にされてきた過去を指しているのだ。
明には、容易に解った。
「オレで、いいのか?」
「明が、いい」
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