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第三章・50

 奇妙なセックスだ、と愛は思っているだろうか。  明は愛の体中にキスを落としていった。  時には舐め、しゃぶり、緩く噛んだ。  そのたびに愛は可愛い声をあげるので、不快ではないのだろう。 『明に抱いて貰ったら、今までのこと少しは軽くなりそうな気がする』  愛の言葉が、胸に強く残っている。  オレなんかで、過去が清められるとは思っちゃいないが、少しでも楽になるのなら。  愛が少しでも楽になるのなら、と全身を愛撫した。  キスをしていない部分が無いんじゃないか、というくらいキスをした。  そんな穏やかなセックスをしているはずなのに、明の分身は痛いほど張り詰め、勃ち上がっていた。  早く挿れろと、もう一つの意思が急かしているようだ。 「明、来て」 「え?」  愛に、見透かされたようで焦った。  いや、このそそり勃ったブツを見れば、誰でも解る。 「後ろ、慣らさないと」 「ローション、ある?」  あるけど、と明はベッドのサイドテーブルからジェルを取り上げた。 「慣れてるから、平気」  そうは言っても、と明はローションを愛の後膣に塗りこめた。  せめて、指一本くらいは入れとかなきゃ、痛いだろう。

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