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第三章・56

「何があったんだ? 話してみろ」    血の上った赤い顔でふうふう息をしながら、明は声を絞り出した。 「喧嘩両成敗じゃねえのかよ」 「……一応、話は聞こう」  あの東郷が、一拍置いている。 「成長したなあ! 東郷さん」 「生意気言うな」  先に口を開いたのは、柊一だった。片手を軽くあげ、東郷に訴える。 「左近充くんが、私の事をお子様と言って馬鹿にするんです」  なるほど、と東郷はうなずいた。 「左近充、お前の言い分は?」 「え? オレ? えっと、柊一のやつがあんまりムキになるんで、ちょっと」 「全面的にお前が悪いんじゃあないか!」  ぽかり、と東郷は、明の頭をゲンコツで叩いた。

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