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第三章・58

「ああもう! やってらんねえ!」  明は頭をばりばりとかきむしりながら、大声をあげた。  じゃあ、そういうことで、とすました顔で東郷は川嶋を伴って去っていく。 「ふふふ。明、お見事。やっぱり私たち、縁結びの天使だったんだね」  愛が嬉しそうに、うっとりと二人の後姿を見送っている。 「だから、そういうんじゃねえよ! 解かってねえなあ、もう!」  しかし、いくら憎まれ口をたたいても、そういう事になってしまった以上仕方がない。 「ここはひとつ、腕によりをかけてリングを作ってやるか」  そう。今回の出来事の発端になった、ノイバラの花の模様でもデザインしてやろう。  ノイバラの花ことばは『痛手からの回復』。  雨降って地固まる、で結ばれた東郷と川嶋にぴったりだ。    愛の痛手も、俺とのセックスで少しは回復してればいいけど。

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