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第四章・9
「胸のすく思いでしたよ!」
「まだ子どもなのに、大したもんだ!」
「アタシも魔闘士になりたい!」
魔闘士になりたい、と言った女の子の頭を撫で、東郷は優しい声色で、だが厳しく言った。
「魔闘士の務めは、善良な人々を守る事なんだ。普通の人たちを相手にケンカをするような魔闘士は、罰せられるんだよ」
人々の様子と、得意げな明。
悲痛な愛の視線に、痛めつけられた5人の若者。
そして東郷の言葉に、入江もようやく全容が掴めた。
しかし東郷の言葉に対して町の人々はざわめき、明は途端に不機嫌になった。
「何で罰を受けなきゃなんねぇんだよ。俺は、善い事したんだぜ!?」
なぁ、と周囲の人々を見渡した明に応じて、口々に彼を弁護する声が上がった。
東郷と入江は、それらを巧くさばきながら、今回被害に遭った若者5人の背景を聞き出した。
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