201 / 259
第四章・15 ~陰謀~
面会です、との牢番の声に、明はプイと背中を向けた。
言われなくても判る。
このオーラは、東郷と入江だ。
「反省文は書けたか?」
「いつまでも意地を張るんじゃない」
二人の言葉は耳に聞こえても、心にまでは届かない明だった。
魔導学校の地下に造られた、独房。
敷地内を縦横にめぐる地下には、万が一の時に身をひそめる隠し部屋や罪人を閉じ込める牢、捕虜を扱う拷問部屋などがところどころに設けられている。
その中の一つに、明は放り込まれていた。
一般人に暴力をふるったのだ。
本来ならば、大魔闘士の地位を剥奪されてもおかしくないところだ。
ただ今回は、その相手が札付きのワルで、多くの人々に迷惑をかけていた事。
そして明が魔闘士としてのスイッチを入れずに、ただの十代の少年としてぶつかっていった事。
この二点が減免の対象となり、独房行き程度で済んだのだ。
傍にいた愛が、治癒のオーラで速やかに彼らの傷を治したことも考慮された。
ともだちにシェアしよう!