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第四章・20
それでも彼らの上司であるマフィアの幹部は、その将来に投資する意味で5人の若者を丁重に扱うよう命じていた。
何しろ親が錚々たる顔ぶれなのだ。
いずれその跡を継ぐ人間とつながりを持っておいて、損はない。
ドラッグが欲しいと言えば気前よくタダで渡したり、女と遊びたいといえば組の息がかかった高級娼婦をあてがったり。
そんな我儘放題好き放題のお坊ちゃまたちが、明への報復を考えていた時に、愛が街までアンチョビのオリーブオイル漬けを買いに来たところを見つけてしまったのである。
「おい、あの子」
「あのガキの、連れじゃないか」
まだ少年だけど、やたら綺麗な子だったっけ。
不思議な事に、あの子に手を取ってもらったら酷い痛みや出血が、だんだんと治まっていったのだ。
しかし、それを治癒のオーラによって愛に傷を治してもらったのだ、とは解からない若者たちだった。
よしんば、そう知ったところで、感謝するような心の持ち主でもなかった。
三丁目で見た時は制服を着ていたが、今日は大きな街に来ているだけあってオシャレをしている。
オシャレといっても、白い綿のシャツにジーンズ。それにノーマルなサンダルだが。
しかし、肩まで伸ばした淡い色の髪を、バラの花を模ったアクセサリーで飾っている。
シンプルなファッションに大輪のバラの花は、まるで愛の美しさそのものだった。
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