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第四章・26
そかしそれには即答せず、蒼次郎は話を逸らした。
「そしてその後、岬が面会に来たな」
「……ああ」
オレのために、アンチョビのオリーブオイル漬けを買いに行く、と言ってくれた愛。
この魔導学校で、一番気の置けない人間だ。
大好きなダチだ。
「お前はまだガキだから、そこまで気が回らなかったのだろうが」
「いちいちカチンと来る言い方するヤツだな! 兄貴の凜太朗にそっくりだぜ」
だが蒼次郎は年上の余裕をもって明の癇癪を受け流し、続けた。
「仕返しのやり方は、何も本人を痛めつけるだけとは限らん、ということだ。周りの大切なものを壊す、という手もある」
「あ」
そういえば以前入江が、大切にしていたウェッジウッドのジャスパー・ティーカップを何者かに割られた、と嘆いていたっけ。
「アレ、あんたがやったのか? そうだな!?」
こいつぁ痛快だ、と明は笑った。
確かに本人を直接はたくより、面白い。
嘆き悲しませ、何日もダメージを引きずらせる方が、何倍も効果的だ。
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