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第四章・27
「ただそれは、物だけとは限らん。自分の大切な人を傷つけられて、お前は平気でいられるか? 左近充」
蒼次郎の言葉の意味が、すぐには解からなかった少年だった。
「俺がお前くらいの年の頃、ここから抜け出してどこか遠くへ。魔導学校の外の世界へと逃げようとした」
「そうしたら、凜太朗がとっ捕まってな」
「なんでだよ!?」
「校長の策略だ。どんなに離れていようと、俺と凜太朗は切っても切れん。あいつに適当な罪状をでっち上げ、公開懲罰を与えたんだ」
明は、ようやく嫌な予感を覚え始めた。
蒼次郎は確かにワルだ。
だが、凜太朗は。
双子の兄の凜太朗のことは、いろいろと悪口を言いながらも心底大切に思っている男だ。
そんな入江凜太朗を……。
「広場の真ん中で、鞭打ち。大魔闘士が、だぞ? 魔闘士の中でも腕っ節のいい奴を選んで、それこそ皮膚が裂けるまで打たせた。もちろん、オーラで防御ができないように、校長の封印札でがんじがらめにされた上でだ」
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