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第四章・31

 愛は、腹を括った。  泣きも喚きもせず、暴れることもせずに静かに成行きにまかせた。  そして、明を恨みもしなかったし、傍にいたことを後悔もしなかった。 (僕で明への仕返しが済むのなら)    ならば、この身を喜んで捧げようと、眼を閉じた。  大丈夫、慣れてる。  声も立てずに堪えて見せよう。 「大人しいね」 「ちょっと、つまんないかな」 「じゃ、とりあえず剥いちゃう?」  頼んだよ、と例の5人はベッドからやや離れた。  代わりに、見知らぬ男らがぐいと近づく。  大人の世界を散々見てきた愛には、判る。  この人たちは、いわゆる筋者だ。 「動画、撮るね~」  若者の一人が、スマホをかざした。 「坊ちゃん、オレの顔は映さないでくださいよ」 「解かってるって」

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