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第四章・33

 まだ細い、白い愛の腕に、ちくりと針が刺された。  意識が飛ぶ前に、愛は一言だけ哀願した。 「お願い。スキン付けて」  だが男たちは、下品な声で笑うだけだ。 (ああ、もうダメ)  ただ、明だけには知られないようにしなくては。  強く決意したその時、激しい思念が愛に届いた。 『愛! 今、どこにいる!? 無事か? 何もないよな!?』  くぅ、と愛は唇をかんだ。  よりによって、こんな時に!   もうヘロインが回ってきている。  男たちが、肌に触れてきている。  この後、僕は狂った様にひたすら快楽を欲しがるだけのケモノになってしまうのに!

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