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第四章・36

「早くどけ。次は俺だ」 「ちょっと待てよ」  例の若者5人も、砂糖に群がる蟻のように愛の体に取り縋っていた。 「上の口にでも突っ込んで、待ってろ」 「早くしろよ」    口々に身勝手な事を言いながら、愛の身体を食い物にする。  元はと言えば、明への仕返しのはずだったこの計画だが、5人はすっかりそんな事など忘れていた。  今現在が、面白ければいい。  そんな刹那的な快楽を求める気性が、牙をむいて愛に襲い掛かっていた。

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