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第四章・38

「やめろ! ぶッ殺すぞ、テメエら! 出してくれ、出せ! 蒼次郎、せめて東郷か入江に伝えてくれ、頼む!」 「残念ながら二人は今、校長に謁見中のはずだ。魔導衣まで着こんでな」 「そんな……」  その後の明を、蒼次郎は見守った。  暴れ、喚き、冷たく湿った牢の石壁を殴り引っ掻いた。  出せ、出してくれ、と絶叫しながら。  喉は枯れ、拳は壊れ、爪が剥がれて血が滴った。  そして、その明の様子は、愛の危機は、全て蒼次郎を介して3名の人間に届けられていた。  校長、東郷、そして入江。  三者三様の反応だった。  校長は眉ひとつ動かさずに、前に控える射手座と双子座の大魔闘士への訓示を続けている。  東郷は、何とかしてあげたいが今はどうすることもできない、と平常心を失わぬよう努めた。  入江は……。

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