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第四章・39

「校長、左近充の声をお聞きおよびでございますか」 「入江!」  東郷はあわてた。  まだ訓示は終わってはいないのだ。  だのに、校長の言葉を遮って、私情を語るなど! 「やけに騒いでおるようだな。お前たちにも届いておろう?」  そして校長は、二人を交互に見て声をかけた。 「東郷、どう思う?」 「今は校長からのお言葉を賜る事の方が、優先にございます」 「入江よ」 「恐れながら、言葉ではなく行動で示させていただきます。御免!」  ばっ、と純白のマントを翻して入江は立ち上がり、魔導衣を煌めかせながら走り去った。 「入江!」  東郷の制止も振り切って、行ってしまった。 「入江らしい事よ」    校長の声は平坦で、入江を責めているのか称えているのか、東郷には解からなかった。  ただ、今のこの両極端な二人の行動は、いずれ新しい校長としてどちらが選ばれるかを決定づける一つのポイントになるのだろうな、という事だけは薄っすらと感じていた。

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