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第四章・41
何という街の、何番地、どの建物の何階に、など細かい情報はこの双子の兄弟には不要だった。
岬 愛がいる所。
ただそれだけで難なく彼を探し出し、ピンポイントでテレポートが可能だった。
しかし辿ってきた愛のオーラはひどく乱れており、彼がどんな惨い目に遭っているかは明白。
特に兄の凜太朗は眉根を寄せて現場に降り立った。
「人が2人も乗り込んで来たというのに、何の反応もなし、か。爛れた奴らだ」
弟・蒼次郎は侮蔑の表情で、だらしなく緩みきった男たちを冷たい目で見渡した。
ベッドの上でせっせと動き、愛を凌辱している男は全部で3名。
すでにその肢体を味わい尽くし、果てたと思われる6名は、だらんと床に座り込み、薬でトリップの真っ只中だ。
「汚い奴らだ。岬には注射で、自分らはスニッフィングか」
ヘロインを静脈注射した場合は、その1回だけで依存症になってしまう。
美しい愛を薬で縛って、今後も意のままに操ろうとでも思ったのだろう。
一方このやくざ者たちは、微粉末にして鼻から吸う程度に抑えて、束の間の至福のひと時を楽しもうというわけだ。
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