227 / 259

第四章・41

 何という街の、何番地、どの建物の何階に、など細かい情報はこの双子の兄弟には不要だった。  岬 愛がいる所。  ただそれだけで難なく彼を探し出し、ピンポイントでテレポートが可能だった。  しかし辿ってきた愛のオーラはひどく乱れており、彼がどんな惨い目に遭っているかは明白。  特に兄の凜太朗は眉根を寄せて現場に降り立った。 「人が2人も乗り込んで来たというのに、何の反応もなし、か。爛れた奴らだ」  弟・蒼次郎は侮蔑の表情で、だらしなく緩みきった男たちを冷たい目で見渡した。  ベッドの上でせっせと動き、愛を凌辱している男は全部で3名。  すでにその肢体を味わい尽くし、果てたと思われる6名は、だらんと床に座り込み、薬でトリップの真っ只中だ。 「汚い奴らだ。岬には注射で、自分らはスニッフィングか」  ヘロインを静脈注射した場合は、その1回だけで依存症になってしまう。  美しい愛を薬で縛って、今後も意のままに操ろうとでも思ったのだろう。  一方このやくざ者たちは、微粉末にして鼻から吸う程度に抑えて、束の間の至福のひと時を楽しもうというわけだ。  

ともだちにシェアしよう!