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第四章・47
途端に薬の効果で得た至福など一瞬にして吹っ飛び、男たちは猛烈に苦しみ始めた。
情けない悲鳴を上げ、のたうち、もがき苦しみ、転げまわる。
中にはげぇげぇと床に吐く者さえ現れた。
涙を流し、許しを請い、絶望の表情で再び引き攣る。
蒼次郎は悦に入った表情で悶絶する男たちを見ていたが、ふと凜太朗の視線を感じた。
「何だ?」
「いや、一体どんな幻影を見せているのかと思って」
核になるイメージは、簡単でいい。
それをオーラに乗せてテレパシーを放てば、喰らった相手が勝手に増幅させて苦しむ仕組みになっている。
(私も何度か使った事のある技だが、ここまで苦しむ人間は見たことが無い)
凜太朗は、改めて弟の実力を感じ取っていた。
一方の蒼次郎は、気軽な表情だ。
「目には目を、歯には歯を。そんな言葉があるだろ?」
「いやあれは、石を投げられただけで『侮辱された』として殺してしまう程の報復が一般的だったため、せめて『石を投げられたら、投げ返すだけで我慢しましょう』という意図で作られた法典で……」
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