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第四章・51
軽い酔いを醒ましながらぶらぶらと歩いていたが、ふと愛は日中の明を思い出していた。
(昔は、ああじゃなかったのに)
魔導学校だろうが外の町だろうが、因縁をつけられると完膚無きまで叩きのめしていた明だ。
それがどうして、手のひらを返したように下手に出るようになったんだろう。
180°変わってしまったんだろう。
『いや~、能ある鷹は爪を隠す、ってヤツ? この俺様、すでに神の域に達してるってカンジだから』
『神の力を誇るこの蟹座の大魔闘士・左近充明様が、あんなチンピラの一人や二人、相手にしてられないっての』
「う~ん」
「どぅした?」
愛は、やはりあの時の明の言葉に半信半疑だった。
「やっぱり、明らしくない」
「何が」
「本気であんなコト言ったのかな?」
明には、すぐにピンと来た。
ゴロツキ相手に、へこへこした態度を取った事を言っているのだ。
そして、その理由にも、
納得はしていないのだ。この美しい愛ちゃんは。
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