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第四章・52
気持ちのいい酔いも手伝って、明はあの時の気持ちを素直に口にした。
「あの時、お前言ったよな。『オトナになったね。明』って」
「うん」
「俺がオトナになれたのは、お前のおかげなんだぜ。愛」
私!? と愛は驚いている。
口にした途端、照れくさくなってしまったので、明は月を見ながら歩みを止めずに続けた。
「ガキの頃はよぉ、一般社会に出る時は任務で殺しをするためだった。外の世界に、仲のいい知り合いなんかいなかった。だろ?」
こちらも黙って、だが月に照らされた明の横顔を見ながら、相槌を打つ愛だ。
「今は違う。馴染みのバーも出来たし、愛、お前の行きつけの店も知ってる。俺がやくざ者と小競り合いになったら、どうなる? 代わりに、俺と接点のある店の人間や知り合いが酷い目に遭わされッかも、だろ?」
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