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第五章・12

 はぁはぁと唇を薄く開け、ついでに瞼も薄く開けている愛。  切ないその顔つきは、明に最後の火をつけた。  眼が眩み、口元に笑みがこぼれる。  それほどまでに愛の体は、明を追い詰めていた。 「どうして欲しい?」 「手を……」  そこで二人は、指を絡ませ合った。  そうして初めて、こうして手を取り合うのは久しぶりなのだという事に気づいた。 「優しくしようか?」 「……好きにしていいよ」  明の今のコンディションを充分知った上での、愛の返事だ。  これはもう、お許しが出たのでケダモノになっても構わない、ということだ。  そしてそれだけ、愛も飢えているのだろう。  腰を引いて、叩いた。 「んうッ!」 「愛……、愛!」  何度も何度も腰をやり、愛の体に打ち付けた。

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