252 / 259
第五章・13
退くたびに内襞が絡みつき、行くなと摩擦を掛けてくる。
そのたびに、脳が痺れるような快感の波が襲ってくる。
奥へ挿入る時は、どこまでも深くいざなってくる。
このまま愛の体内へ、全身潜りこんでしまえるかのような錯覚に陥る。
明の手に指を絡め、爪を立ててくるかすかな痛みが、彼をかろうじて現実に繋ぎとめるリボンだった。
時折明の汗が、愛の肌に飛ぶ。
そんな些細な刺激すら快感に泡立ち、愛は悦びに打ち震えた。
体の一部を繋げているだけなのに、どうしてこんなに狂おしいのか。
あぁ、明。好き。大好き。愛してる。
そんな言葉が次から次へと泡のように浮かんでは消えるのに、口をついて出るのは、はしたない嬌声だ。
「あッ、あぁっ、あぁっ、んあぁ!」
「イイぜ、愛。お前ン中、すっげぇイイ」
低く甘い声に、ぞくりと来る。
あぁ、でもこんな時にも、一番聞きたい言葉は決して耳にすることはできないのだ。
ともだちにシェアしよう!