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第五章・13

 退くたびに内襞が絡みつき、行くなと摩擦を掛けてくる。  そのたびに、脳が痺れるような快感の波が襲ってくる。  奥へ挿入る時は、どこまでも深くいざなってくる。  このまま愛の体内へ、全身潜りこんでしまえるかのような錯覚に陥る。  明の手に指を絡め、爪を立ててくるかすかな痛みが、彼をかろうじて現実に繋ぎとめるリボンだった。  時折明の汗が、愛の肌に飛ぶ。  そんな些細な刺激すら快感に泡立ち、愛は悦びに打ち震えた。  体の一部を繋げているだけなのに、どうしてこんなに狂おしいのか。  あぁ、明。好き。大好き。愛してる。  そんな言葉が次から次へと泡のように浮かんでは消えるのに、口をついて出るのは、はしたない嬌声だ。 「あッ、あぁっ、あぁっ、んあぁ!」 「イイぜ、愛。お前ン中、すっげぇイイ」  低く甘い声に、ぞくりと来る。  あぁ、でもこんな時にも、一番聞きたい言葉は決して耳にすることはできないのだ。

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