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17吸血鬼の牙
「あ、ッ、あっ・・んっ」
遠くで不自然に喘ぐ自分の声が聞こえると、セナは他人事のように思った。目の前にはジゼがひときわ赤い瞳でセナを扇情的に見つめている。
「んんッ、うっ、ぁ、あっ、・・ジゼ」
「どうしました、セナ?気持ちいいですか?」
「んっ、きもち・・い、い・・ああッ」
セナは裸でジゼの身体に跨り、後孔にはジゼの肉棒を受け入れ腰を降る。痛みはなくただ気持ちいいという感情しかない。
「はっ、ぁ、あっ、・・・んっ、ジゼ、もっと動いてくれ」
「・・・セナが、私の番になるとお約束してくれたら好きなだけ動きます」
「つがい・・・?」
「私と永遠の愛を誓って欲しいのです」
「・・・んっ、ぁ、わかんな・・・い・・」
「お願いします、セナ」
ジゼは繋がったままセナを机に押し倒し、両足を肩にかけると激しいピストンで攻め立てる。乾いた音がパンパンと響き、ガタガタと机が振動する。
「やっ、ああッ!あっ、んっ、ぁ、ひぁっ、激しいの、・・あッ、イヤだッ」
「嫌ですか?こんなに可愛く締め付けて、私のを離さないのに。では動くのをやめましょう」
「ぁ、あッ・・・んっ、ぅ?」
激しかった律動がいきなり止まり、足が降ろされた。もうすぐ達しそうだったセナは物足りなくなる。
「う・・・ジゼ、なんで・・止まるんだよ」
「セナが私を拒否されたので」
「・・・・ぁ、う・・」
「なんですか?」
ジゼはわざとらしく音を立ててセナの耳を舐めたり、甘噛みし始める。セナは止められた快感を取り戻したいのか、必死で足をジゼの腰に絡めた。
そして咥え込んだままの起立を、ぎゅうぎゅうと締め付ける。
「動いて・・・ジゼ」
「もう少し可愛く誘ってください」
「うぅ・・俺の・・中でめちゃくちゃ動いて、イカせてほしい」
「セナの首筋噛んでいいですか?」
「い、痛いのは・・」
「大丈夫、噛んでる間は痛みはわからないです。嫌なら抜きます」
ジゼはセナの後孔から自身の肉棒を抜こうと腰を引くと、セナの両足に締め付けられた。
「あッ、あ、噛んでいい!噛んで・・んっ、中、なかで・・んぁッ」
「素直な子は好きですよ」
「ああッーーーー!!!」
力強くセナの後孔に肉棒が突き込まれる、それと同時にジゼの吸血鬼の牙がセナの首筋に食い込む。
そのままセナの奥で何度も突き上げながら、吸血するジゼ。
「ああッ、あ、ッ、んんッ、んぁッ」
「は、ッ、セナ」
「んぁ、も、むりっ、イクッ!イクーーーッ」
「くっ・・・セナ、私も貴方の中に!」
セナの脚はガクガクと痙攣し、ジゼの肉棒を締め付けながら達した。それと同時にセナの奥まで突き上げたジゼも、己の欲望を注ぎ込んだ。
お互い絶頂の余韻で荒い息遣いが部屋に響く。
「ピヨ〜ピヨ〜」
その余韻の中、引き出しの中からぴよ太の鳴き声が聞こえた。意識朦朧としているセナの代わりに、ジゼは引き出しを開けた。
ぴよ太は引き出しの中から勢いよく飛び出し。机に飛び移る。ぐったりしているセナの頬をつつくと、ピクピクと身体が震えた。
「ぴよ太、閉じ込めてすまなかったね。セナはしばらく、そっとしておいてくれ。無理をさせたからね」
「ピヨ」
ジゼは眠ってしまったセナを抱き抱えて、ソファーに横にさせた。自分のマントを上から被せてやる。ジゼは身なりを整えると、椅子に座りセナを眺めた。
「はぁ・・・暗示をかけて思うままに貪ってしまった。我ながら情けない失態だ」
「ピヨッ」
「ぴよ太もそう思うかい?」
「ピヨ」
「人間との永遠の愛なんてないのに。さて、魔王の決めた掟を破ってしまったようですね」
ジゼは寂しそうにそう口にすると、セナを見つめ続けるのだった。
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