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七瀬巴に出会ってから、僕の世界は彼一色だった。 何をするモノ、彼と一緒。 友達未満で恋人以上。 彼をこよなく崇拝する僕は異常者だった。 なのに、ISUグランプリファイナルの前夜に巴から国際電話がかかって来た。 珍しい。 「もしもし?どうしたの?」 『ん?サクラ、このISUグランプリファイナルが終わったら結婚しようか?』 「何、ソレ?プロポーズ?」 『そうだよ。婚約指輪も結婚指輪もちゃんと準備するよ?』 僕に指輪を用意すると言う巴の声は真剣で僕をからかっているモノではなかった。 「へ~、じゃ、ウェディングドレス着て、結婚式も上げるの?」 『う~ん、ウェディングもいいけど、新婚旅行に行きたいな♪』 職業柄、僕よりも色んな国に行っていると言うのに、彼は嬉しそうにそう言う。 「国内も海外ももう行き尽くしてない?」 『あのね?新婚と独身とは違うの!解る?』 「解らないよ、そんなの…って言うか、新婚旅行って託つけて、子作りするつもり?」 『ああ、ソレ、いいね♪オレ達の子供作って子育てしようか?』 ソコまで考えてなかったと僕の意見を採用する巴は柔らかに笑っていた。 こんな彼は初めてだ。 「でも、僕らまだ付き合ってないよ?」 僕が巴にそう言うのは、僕自身へ現実を叩き付けるため。 『なら、オレと付き合って下さい』 彼はさっきみたいに真剣な声でそう言うから思わず、 「いいよ」 と、答えてしまっていた。嘘でもそう言ってくれて有難うと続けようとしたら、 『本当?嬉しい♪じゃ、プロポーズもOKだよね?』 そう言うから、 「え?そうなの?」 突拍子もないと言う声で僕は目を丸くした。冗談だよと言われるんだと思っていたから。 『そうだよ。オレの一世一代の告白を無下にされたら困るって』 「巴って、本当、強引」 そう言うとしゅんとした声で怒ってる?と言って来るから、仕方ないなと言って上げる。 『え?嘘!いいって事?』 「何、言ってんの?そう言う事でしょう?」 フフっと笑うと巴も笑って、僕はこう言う幸せがずっと続くんだと思っていた。

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