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覚えたばかりのキスが、これほどまでに辛く、悲しい意味を持つものだと思わなかった。 どうして、こんなにも苦しくなってしまう相手と惹かれ合ってしまったのだろうか。 唇が重ね合わされる度、一時でも煌輝を好きになってしまった自分を瑠輝は激しく責め立てる。 成すがまま瑠輝の唇を奪っていた煌輝は、突然唇を離すとポツリ、こう呟いた。 「――やだ、じゃない」 自身へ言い聞かせているようにも、それは聞こえた。 「俺は瑠輝を“好き”だから⋯⋯全然嫌じゃないんだ」 次第に、煌輝の口調は確固たる信念を含んだものへと変化していく。 「何度でも言う。瑠輝が俺の気持ちを信じ、安心してくれるまで――」 眉間に皺を寄せ、煌輝のマロン色した瞳がより深みを帯びた瞬間、瑠輝の唇を噛みつくように奪った。 「ンん⋯⋯んぅ⋯⋯」 息付く暇もなく、再び瑠輝はキスで口封じされる。 何度も何度も煌輝はその角度を変え、瑠輝には喋らせないよう執拗に舌を貪っていく。 「好き⋯⋯すき、スキだ⋯⋯瑠輝、好きだ」 口づけたまま、吐息混じりに煌輝は瑠輝への強い想いを口にする。 ストレートに想いをぶつけられた瑠輝の心が揺れ動かないはずはなく、自分を必要としてくれた煌輝を再び信じたいと。少しずつそう思い直す。 「俺の気持ちが信じられないなら、信じてもらえるまでそのネックプロテクターを外さなくていい」 煌輝は瑠輝の項を隠す頑丈な作りのそれに、そっと口づけた。 なんてことはない、たったそれだけの行為が厳かな儀式のように思えた。 「――でもいつか、瑠輝のその項に俺だけの証をつけたい。信じて欲しい」 飴色の瞳の奥の奥をじっと見据えた煌輝は、瑠輝の頬を掴むと、触れるだけのキスをする。今までとは違う、それは子ども同士がじゃれ合ってするような可愛いキスだ。 先ほどまで交わしていた官能的な大人のキスとは違うはずのそれに、瑠輝の下腹部は明らかに反応を示す。 ――どうして、こんなキスで。 酷く瑠輝は困惑していると、学ランの裾から煌輝の手が潜り込んでくる。素肌を大きな手が這い、瑠輝の下腹部に灯ったばかりの熱は上向きに窮屈な布地の中で主張していく。 咄嗟に瑠輝はその熱の上昇を気づかれたくなくて、煌輝から腰を浮かす。 「⋯⋯もしかして、感じた?」 熟れた瑠輝の胸の飾りを弄ぶ煌輝は、途端に酷く甘い、湿った声で囁く。耳許を這うような美声に、瑠輝は隠しきれない自身の熱雄を誤魔化すように首を大きく振った。

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