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「薔薇の香りが濃くなっている。発情期でもないのに、興奮しているのか?」
意地悪い問い掛けに、瑠輝は隠せぬ男性の変化に唇を噛む。
「――実は俺も」
煌輝はそう言うと、捉えていた瑠輝の手を解放し、そのまま自身の下腹部へと導く。
ドキッとした。
今にもスラックスを突き破りそうなほど、そこは大きく、かつ熱く怒張していたのだ。
ドクンドクンと息遣いするそれは、瑠輝の掌の中で徐々に大きく育っていく。
「⋯⋯っ!」
――ウ、ウソ。まだ、大きくなるのか?
脅えた瑠輝は手を引っ込めようとしたが、煌輝の手がそれを許さない。
明らかに瑠輝の熱雄とは形も大きさも違う、別の生き物のようなそれに、瑠輝の下腹部はあっという間に完勃ちしてしまう。
「俺も、どうやら発情したみたいだ」
艶かしい低い声がそう告げると、自身のスラックスの合わせに瑠輝の手を誘導させた。
「――俺がしたように、瑠輝も俺のコレ⋯⋯触ってくれるか?」
語尾は疑問形だったが、有無を言わさぬ圧倒的な迫力で煌輝は迫る。
イエス以外など有り得ない。まるでそう言わんばかりのオーラを煌輝は放っていた。
酷く困惑しながらも瑠輝は覚悟を決め、その合わせに手をかける。
スラックスの中に潜む煌輝の怒張を傷つけないよう、恐る恐るその合わせを開帳していく。既に涙蜜で汚れていたそれは、窮屈そうに小さな布地の中でびくんびくんと悶えている。
――煌輝の、キツくて啼き叫んでいるみたいだ。
無意識だった。
瑠輝は涙蜜を溢し主張するそれを、覆っていた布に手を掛け、狭い世界から解放したのだ。
水を得た魚のように、ぶるんとそれは勢い良く飛び出し、瑠輝の眼前に突きつけられた。あまりにも瑠輝の熱雄とは違う、明らかに使い込まれた立派な大人の雄だ。
同時に、その根元にはオメガの瑠輝にはない、紛れもないアルファの証を――瘤のような雄々しいノットを発見する。
――あれが、発情期に交わるとほぼ受精率を確実にするというアルファ特有の⋯⋯。
初めてそれを見た瑠輝は、その獰猛さにゴクリと息を呑む。
ノットとは、アルファのみに存在するものだ。亀頭球と呼ばれる瘤のような器官が熱雄の根元にあり、オメガと交わった際、妊娠しやすいようそれは簡単に抜けないような構造となっている。
もちろん今の瑠輝は発情期を迎えていないため、妊娠する可能性はない。
だがもし、煌輝の獰猛な下腹部の熱を捻り込まれたら。想像するだけで、まだ誰にも晒したことがない瑠輝の秘孔はひくりと疼く。
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