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スラックスのバックポケットから、煌輝は渋々最新機種の携帯電話を取り出す。 煩く主張するそのディスプレイを無言で眺めるだけで、出ようとはしない。 「⋯⋯出ないのかよ?」 痺れを切らした瑠輝が訊ねる。 「構わない。どうせ取るに足らぬことだ」 「でもさっきからずっと鳴ってるだろ? 急用じゃないのか?」 眉を顰めて瑠輝は言った。 「それより、今の俺には目の前の瑠輝の方が大事だ」 手にした携帯電話をタッチパネルで操作すると、再びそれを元あった場所へとしまう。 「おい、煌輝⋯⋯」 いいのかよ、そう言いかけたところで勢いを失っていた瑠輝の熱雄に煌輝は手をかける。 「すぐにまた快くしてやる」 自身の熱雄を瑠輝の秘孔の辺りに充てがい、ぬちゅぬちゅと蜜音を立てながらゆっくり擦り始めた。 煌輝の左手が紅く腫れたままの胸の飾りに触れ、弾くように弄ぶ。 「ひゃん⋯⋯ン⋯⋯ぁん」 焦れた快感がそこから全身へと拡がる。あっけなく瑠輝の熱雄はその硬さを取り戻す。 「瑠輝の太腿で俺のを挟んでイかせて?」 満足そうにうっそりと笑んだ煌輝は、瑠輝の身体を反転させ、その眼前へ臀部を高く突き上げる姿勢を取らせると、その大腿の付け根に自身の熱く昂った雄をぐっと差し挿入れた。 双珠や熱雄が熱く雄々しい煌輝に擦られると、全身はぐちゃぐちゃに蕩け出す。 「あぁ⋯⋯ン⋯⋯ぁア⋯⋯ゥうン」 大腿に潜り込んだ熱雄に突かれる度、瑠輝は思ってもいない嘆声を上げる。 ――気持ちイイ。 ぬるっとした熱く大きな煌輝のそれが僕の快いところを擦って⋯⋯。 「瑠輝、気持ちイイか?」 荒い息遣いの煌輝が砂浜へ両手をつき、腰を激しく動かす。 返事の代わりに、瑠輝はより強く大腿で熱雄を締め付ける。呼応するように、煌輝の熱雄は更に大きく膨れ上がり、益々瑠輝を悦ばせていた。 「ヤぁ⋯⋯あ⋯⋯ぁああ」 限界はすぐそこまで迫っていた。 大きなその身体を支えるため背後から地面へと伸びていた煌輝の左手を、快感の波が迫り来る度、爪がきつく喰い込むほどにギュッと握り締める。 生臭い匂いが鼻腔を掠め、爪を立てていた箇所から出血したのだと気がつく。だが、瑠輝はもとい、煌輝はそれを気にすることなく情熱的に腰を振る。 「なぁ煌輝、もう⋯⋯僕⋯⋯」 次から次へと押し寄せる波のような吐精感に、震えながらその収束を瑠輝は乞う。 背後から瑠輝の顔を覗き込むように、煌輝はちぅと左頬へキスする。 「俺もだ。一緒にイこう」 耳朶を舐めるように囁くと、瑠輝の臀部をより締め熱雄の抽挿を繰り返した。 「あ⋯⋯っァあ⋯⋯ああ⋯⋯ああああ」 ぐっと自身の熱雄に熱いものがせり上がり、あっという間に飛沫を上げる。 下に敷かれていた煌輝のジャケットを、はたはたと白濁が穢していく。 瞬時に「あ」と声が洩れたが、すぐ様それを上回るほどの情欲が背後の男から解き放たれる。 どろっとした熱いものが派手に大腿を濡らし、煌輝は全てを放出するまで瑠輝の背に密着したまま離れずにいた。

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