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「――煌輝のこと、僕が二十四時間⋯⋯監視、するんだろ? だから、煌輝の、も⋯⋯」
俯きながら話す瑠輝に、煌輝は面食らう。
しかしすぐ様、頬をだらしなく緩ませ、獲物を狙うギラギラした目つきへ変わる。
もちろん、俯く瑠輝にはそんな様子は見えていない。
「⋯⋯瑠輝、“ゴメン”はやはり俺の方かもしれない」
「え?」と視線を上げる瑠輝の目の前で、手際よく煌輝は窮屈な前を寛いでいく。
噎せ返る薔薇の香りの中、煌輝のアルファとしての尊大な証が勢いよく顔を出す。
暗闇の砂浜で目にした時より、更に鮮明に瑠輝の視覚を捉えた。
うっすらとしか存在しない瑠輝の下生えとは違う雄々しく繁るその中に、明らかに年齢とは不釣り合いの黒々とした色の熱雄が、腹部へ張りついてしまいそうなほど反り返っている。
――ああ、やっぱり煌輝の⋯⋯かなり大きい。
大人の形⋯⋯否、立派なアルファの形⋯⋯してる。
まだ何も触れられてもいないはずだが、以前後孔を擦られた感触を思い出し、キュンと瑠輝のそこは物欲しそうに疼く。
「瑠輝の可愛いところ、ヒクヒクしているのが丸見えだ」
高揚した口調で告げる煌輝に、瑠輝はいたたまれず顔を両手で覆い隠す。
自分はやはりオメガで、アルファと共に居ると淫乱になってしまうのだと痛感するが、それでもやはりその相手が煌輝だからだと思いたかった。
これだけ誠実に言葉を重ねてくれる、煌輝だからなのだと。
煌輝はどこからともなく取り出した洒落たパッケージボトルの中身を、自身の掌にあますことなく溢していく。
「ゴメン、瑠輝⋯⋯息をゆっくり吐いていてくれ」
切羽詰まった様子の煌輝が、ぬるっとした感触を纏った細長い中指を、瑠輝の孔へと潜り込ませる。
「やっ!」
異物の侵入に、瑠輝は条件反射で驚きと痛みの声を上げてしまう。
形の良い煌輝の指は、そのまま瑠輝の内を探るよう、くにゅくにゅと蠢く。
「やっ⋯⋯ナニ、これ⋯⋯? 風呂入ってないから、僕きたないっ⋯⋯」
全身を硬直させ、嫌悪感を示す瑠輝の唇をペロリと煌輝は舐めた。
「汚くない。むしろ瑠輝の香りが強くて嬉しい」
平然と煌輝はそう言ってのけ、黒々とした自身のものを、淡い色した瑠輝のものへ密着させた。
「薔薇の強い香りと瑠輝の香りが混ざって、理性が飛びそうだ」
孔を探る手とは反対の煌輝の手が、二人の熱雄をギュッと握り、扱き始める。どちらのものとも断定できない先走りの匂いが、瑠輝の鼻につく。
眼前の煌輝は恍惚の表情を浮かべ、マロン色した瞳がとてつもない色気を放っていた。
清潔だとか不潔だとか、興奮している煌輝には全く関係のないことなのだと知る。
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