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005.ひとりぶんの食器
新しい食器は、何を食べてもマズくなる。どんな料理もしょっぱいばかりで、どんな食材も味が飛ぶ。
前に使っていた食器なら、こんなことはなかった。温かみのある乳白色の小皿も、シーグラスみたいなサラダボウルも、青の縁取りが透き通っていた茶碗も、椀も湯呑みも。
思い切って全部捨てたのは失敗だったんだろうか。いや、まさか。
だっていつまでもここに居場所があると思わせてたら、あいつだって歩き出せなかっただろう。
――お前は、可愛い彼女にちゃんと、うまいメシ作ってもらってるんだろうな?
俺のことは忘れて、幸せになってくれよな。頼むからさ。
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