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010.素直になれないおじさんの合法接近術
私はもうおじさんで、この子はぴちぴちの高校生。
あちらは私を慕ってくれるけれども、私はすでに、彼の未来をものにして許されるような歳ではないのだ。
年々父親に似ていくその子を日々眺めていると、ついつい、自分まで若くなったような気がしてしまう。そう、私が付き合っていたのは彼ではなく、彼の父。今は亡き幼馴染のあの男なのだ。
求められれば答えたくなってしまう。みっともなく自分を慰める夜がどれだけ寂しいものか。だがそれは、今を生きる若い彼には関係がない。むしろ健やかに育つためには邪魔なものでしかない。
この気持ちは邪魔でしかないんだ、……けど、も。
「すまないが白髪染めを頼めるかい。」
「へ? 先週したばっかだよな?」
「身嗜みが気になる歳なんだよ……忙しいかい?」
「いやいやいや、やらせてやらせて!」
理由を付けてそばにいようとしてしまう浅ましさに君が気付いてしまわないよう、祈るばかりの今日この頃。
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