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014.無口な恋人の愛情表現

 俺の恋人は口数が少ない。  身体も小さくて内気だし、暗いと虐められていたのも知っている。  でも実はあいつの内側には確固とした自我があって、俺はあいつのそんなところに惹かれて付き合い始めた。  そんな俺たちが喧嘩をすると、どうなるか。 「先輩の弁当、なんかその、特殊っスね。」 「まあ、なぁ……。」  俺の弁当へ視線が釘付けになってしまった手前、後輩は言葉を選びながら控えめな感想をくれた。ただしフォローにはなってない。  敷き詰められた白飯の上には器用に切り抜かれた海苔が並んでいる。曰く、『好きだ馬鹿!!』だそうで。  これだけ見るとのろけてるみたいだが要するに『許す準備ができました。仲直りしたいです。』って意味だったりする。 「悪いが今日は定時で帰るぞ。」 「珍しいっスね、了解です!」  キッチンで必死に海苔切ったんだろうなって、想像したら許したくもなるだろ。  今夜は誤り倒しに行くとすっか。

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