「最近あいつが冷たくてさ……」 　電話口でそう切り出してきた友人に、僕はハッとしてしまった。でもバレてはならない。彼等が別れてくれれば僕にもまだワンチャンあるかもなんて考え、なんとしても隠し通さねば。 「冷たいって、具体的にはどんな感じなの？」 　あくまでも平静、なんならめんどくささとか片手間感とかも滲ませつつ尋ねてみる。 「あいつ……ずっとこたつに入ったまま出てこなくってさ……」 「こ、こたつ？」 「うん。新しく買ったんだけどさ……」 「ふむ。」 「あれ買ってからあのヤロー、いってらっしゃいのキスもただいまのキスもしてくれないし……」 「はあ。」 「その上こたつでそのまま寝るから、こっちはもうほぼ一ヶ月くらい独り寝なんだ。どういうことだよ、もうっ！」 「こっちが聞きたいよ。」 　ワンチャンなんて微塵もない。ただの惚気話じゃないか、まったく……！！