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016.隣に俺がいるんですが?

『あんっ、ああっ、あーっ、あっ、アァッアッ!!』  今日も今日とてこれですよ。 「なぁ、……もう……、よくないか……?」 「ま、まだ駄目だ。」  頑固者の恋人は食い入るようにゲイビを見てるが、別に興奮するのを待ってるとかそんなんじゃない。 「お前のためなんだぞ。」 「いや……なんかもう、どうでもよくなったっていうか。」  男同士なんてお互い初めて。上と下はなんとなく決まっていたものの、ヤリ方なんてわからない。  じゃあどうしようかとなった時に「痛いのはやだ」と俺が口を滑らせたせいで、このゲイビ地獄が始まった。 「少しくらい我慢するからさぁ。」 「上手くできればそれに越したことはないだろ。こっちも怖いんだって……!」  そう言って据わった目でゲイビを凝視し続けるこの男。むー……。 「えい。」  前触れなく横顔へ唇を寄せた。赤い目を丸々開いて、お前はようやく俺を見る。 「だから、もういいって……。あんなアンアンうるさいのより、俺を見ろよ。」 「お……おお……。」  この時は予想すらしていなかった。まさかAV男優より俺の方が声が大きいだなんて。  恥ずかしすぎるにもほどがあるけど、研究の甲斐はあったかな?

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