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018.陰徳暗澹
目が見えないからって、馬鹿にしないでほしい。
僕は貴方の全てを知っているのだから。
指の長さ太さ、爪の厚み、耳の形と鼻の高さ、息遣いに心音に、血の通う位置まで。
「今夜も頼むよ」と言いながら、貴方が本当に僕を抱いた回数なんて片手で足りるくらいなもの。
それでも夜毎素直に口を開き、脚を開くのは、そうすれば貴方が喜ぶから。
ただ、それだけ。
淫乱とか色魔とか、だれかに好き勝手に言われても、貴方の手の中で金貨の鳴る音が聞こえればそれで我慢できる。貴方が満足ならそれでいい。
貴方はきっと悪い人。でも僕には、初めて優しくしてくれた、かけがえのない人だから。
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