41 / 51
041.キスの日
唇を重ねた瞬間、ビビーンッ! と電撃が走ったような気がした。
「これで満足?」
そう言って離れていった親友の顔を前に、俺は思わず、勃っている。
そもそもキスの日なんてふざけた日があるのがおかしいんだ。バレンタインに義理チョコがあるなら、キスの日に義理キスがあってもよくね? なんて俺が馬鹿を言い出して、無理矢理コイツに付き合わせた、だけ、だったんだけど。
「ちょ、なにそれ。」
呆れた目を股間に向けられて我に返る。そりゃあそうですよねって思わなくもない。それでも、俺は咄嗟に「お前こそなんなんだよ。」って言い返してしまった。
「なにが?」
「お前ホントに男?」
「は?」
「唇めちゃくちゃ柔らかいんだけど。」
まさか俺が知らなかっただけで、この男はホントは女だったりするんだろうか??? だとしたなら、俺、このまま襲っちまいそうなんだけど???
「ちょ、服脱げ。」
「は、はあ!?」
「いいから脱げって。」
「な、なにすんだよっおまっ!?」
考えてみたら間違えようがないよな。学生の頃にはお互い授業で水泳パンツ履いてたし、修学旅行も同じ班で風呂も一緒だったし。
でもな。
「……お前、こんなやらしいやつだったのかよ……っ。」
「人の服引っぺがしといてその言い方はないだろーッ!?」
肋骨が浮いたぺったんこの胸板に、ラインが浮き彫りになったボクサーパンツ一枚。
こんな格好、銭湯にでも誘えばいくらでも見れるはずなのに、なんだって今夜はこんなやらしく見えるんだろう。劣情が、止まらん……。
「……キスの続き、していい?」
ともだちにシェアしよう!