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043. お前の愛は歪だから

「それでホテルに誘ったら顔引っ叩かれたって?」  馬鹿な幼なじみが「うん」と頷くので俺は思わず苦笑い。 「だって彼女は僕が好きって言ったんだ。それじゃ、早く寝ちゃう方が親切かなって。」  とんでもない超理論。告白してきたっていう女の子もまさかこの爽やかイケメンが親切でホテルに誘ったとは思わないだろう。 「恋なんて儚いものより、セックスの方がよほど確実じゃないか。愛情の強さも絆の固さもよくわかる。」 「うーん。」  悲しいかな、この幼なじみにとってはそれが世界の常識だった。そういう家庭、そういう集団に育てられてしまった以上、仕方がないんだろう。 「セックスじゃなかったら何で愛されてるって実感するの?」  そういう歪んだ理のなかで、こいつはたくさんの人に愛されてきたらしい。それで飽き足らなくなれば、こいつは自分から俺に身体を抱かせてくる。爽やかに爛れきっている。 「そりゃ、手を繋いだり、キスしたり、」 「それ、全部ベッドでしてるよね?」  真顔で尋ねられると、ちょっと参るな。俺とだってさっきしたばっかだもんな?  でも、頭がイカれてるとしか思えない言動ばかりのお前とずっと付き合っていられるのは、セックス以外の愛情を知って欲しいからでもあるわけで。 「……いつか、わかるんじゃねえの。」  できることなら、俺が教えてやりたい。いつか、わかって欲しい。  こっちの切実な願いなんて知る由もなく、お前は「ふーん」と気の無い返事をしながら抱きついてくる。ピロートークに飽きたらしい。 「でも僕、今わかる愛情が欲しいんだよね。」 「まったく……、仕方ねえやつ。」 和花言葉BLSSSシリーズ お題: アサガオ/花言葉「はかない恋」「固い絆」「愛情」

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